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4月5日に亡くなった、アニメーション映画監督の高畑勲さんを追悼して、その代表作の一つ「火垂るの墓」が、金曜ロードSHOW!で放送されました。
終戦前後の混乱の中を必死に生きぬこうとした兄妹のその思いもかなわず、栄養失調で悲しく死を迎えねばならない姿を描いた物語です。
戦争によって沢山のものを失い生き残った人々の愛情と無情が交錯する中、蛍のように儚く消えて逝った二つの命の、悲しみと鎮魂が独特な世界観で表現され心に沁みる作品となっています。
誰もが望むのは、戦争のない世界です。
ところで、蛍の話をします。
ホタルの仲間は世界で2000種、そのうち日本に生息するのは約40種、発光するのは10種類程度だそうです。
日本では清流にしか棲まないというイメージですが、世界の殆んどのホタルは陸生です。
幼虫時に水に棲むのは東アジアの10種類ほどで、清流に棲むのは日本にだけ生育している源氏ボタルの特徴です。
ホタルの雄は飛び回りながら、雌は草にとまりながら発光しています。
蛍狩りはアジアだけの風物詩で、欧米ではホタルも単なるバグで駆除の対象のようです。
夏の夜、淡い火垂るの明かりを見て亡くなった人を思いだす感性は、日本人の心の繊細さを表しているのでしょう。