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葛飾というと寅さん映画の葛飾柴又地区を、葛西は江戸川区の葛西臨海水族園付近を、そして東葛というと千葉県の柏市や松戸市一帯で、全体としては南北に連なっているのに、地名としては東や西が付くのが不思議でした。
葛飾の名称は現在の葛飾区の地域固有のものではなく、もともと下総国(現在の千葉県)葛飾郡一帯の広大な地の総称です。
この場合の「葛飾」とは、中央付近を概ね現在の千葉県市川市付近とし、北を埼玉県北葛飾郡、西を東京都葛飾区や墨田区・江東区の東部、東を茨城県古河市、南を東京都江戸川区や千葉県浦安市付近とする一帯で、古くは『万葉集』などにもその地名が登場しています。
現在の葛飾区一帯や江戸川区の付近は近世まで「葛西(葛飾の西部の意)」と呼ばれ、明治維新の廃藩置県の際は千葉県市川市から船橋市一帯が「葛飾県」でした。
現在の東京都葛飾区以外に「葛飾」や「葛」の字が付いた地名などが数多いのは、広大な「葛飾」の名残りです。
「葛飾」のほぼ中央に位置していたのが現在の京成西船駅付近で1987年(昭和62年)まで「葛飾駅」と呼ばれていました。
そのため西船駅周辺の町名は現在も「葛飾町」で「葛飾幼稚園」、「葛飾小学校」、「葛飾中学校」など「葛飾」の名が残っています。
「本八幡駅」の語源にもなった神社は「葛飾八幡宮」で、葛飾の名を冠したものは、実は現在の葛飾区よりも、「本来の葛飾」の中央付近だった千葉県北西部(旧東葛飾郡)に多いのです。