TOP > Pua Mae ‘Ole Hula Studio 日記 > イカナゴの不漁
瀬戸内海では養殖海苔の色落ちや小型の魚であるイカナゴの水揚げの減少が続いています。
瀬戸内は世界でも珍しい多島海で、非常に閉鎖性が高く、河川の水質の影響を受けやすい海域です。
高度経済成長期には河川から流れ込む生活排水の影響を受けて、窒素やリンといった栄養塩が過剰となり、植物プランクトンの大発生による赤潮が頻発しました。
赤潮が養殖はまちの大量死を引き起こしたため、下水の処理時の栄養塩の残存量が厳しく規制されました。
この結果、河川の水質は向上し、海もきれいになり海水浴も復活しました。
しかし、厳しい規制によって今度は逆に海中の栄養塩が不足し、水産資源の減少や品質の低下につながっているのではないか、という疑いが出てきているのです。
イカナゴ不漁の原因の一つが水質にあることが判明ましたが、その他の原因として「海砂の減少」と「水温上昇」も問題とされています。
高い水温が苦手なイカナゴは、真夏の高水温期には海底の砂に潜って「夏眠」を行うという習性があります。
この夏眠に適した砂地が高度成長期の建築ラッシュに伴う海砂の採取および沿岸の埋め立てによって失われてしまっており、これも不漁の遠因とされています。
瀬戸内海以外の産地である博多湾、伊勢湾、陸奥湾などでは漁獲がほぼ0という状況が続いており、危機的状況であるといえますが、これには温暖化による水温上昇が関連していると考えられています。
南国の青い透き通った海は魚にとっては食べ物の少ない海なのです。